ラウールの法則とは わかりやすく解説

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ラウールの法則で検索すると色々ヒットしますが、どれもよくわからないなあと思いませんか?
この記事では、ラウールの法則について簡単にまとめていますので
読めばすぐに理解して、今後の課題や計算にすぐに対応できるようになります。
また、ラウールの法則に関連してAntoine(アントワン)の式についても解説してます。

ラウールの法則とは

ラウールの法則とは簡単に言うと以下が成立するということです。

各成分のガス分圧=各成分の飽和蒸気圧×溶媒中の各成分のモル分率

ただし、理想溶液 (成分濃度が希薄、圧力がおおよそ大気圧条件下)に限ります。

ベンゼンとトルエンの例

例として、以下の図ようなケースを考えたいと思います。

前提条件

  • ベンゼンとトルエンの混合液(モル分率:ベンゼン0.7、トルエン0.3)
  • 温度:85℃
  • 飽和蒸気圧:ベンゼン100 kPa、トルエン30 kPa

求めたい値

  • 気相中のベンゼントルエンの分圧
  • 気相中のベンゼンとトルエンのモル分率

そうすると上記の状態の時に「求めたい値」は以下で算出可能です。

ベンゼンの分圧 = 100 kPa × 0.7 = 70 kPa

トルエンの分圧 = 30 kPa × 0.3 = 9 kPa

全圧 = 70 kPa +9 kPa = 79 kPa

気相中のベンゼンのモル分率 = 70 kPa ÷ 79 kPa = 0.89

気相中のトルエンのモル分率 = 9 kPa ÷ 79 kPa = 0.11

与えられている数値はその時によって違うと思いますが、上記がわかればすぐ対応できます。

Antoine(アントワン)の式

Antoine(アントワン)の式は飽和蒸気圧を求める式です。
各成分の飽和蒸気圧は物性値であると冒頭で記載しましたが、以下計算式によって算出できます。

log10P [mmgH2O] = A- B / (t[℃] + C)

P:飽和蒸気圧 [mmgH2O]、A:定数、B:定数、t:温度[℃]、C:定数


定数A~Cの値はAntoine定数と呼ばれ、成分によって違います。
成分による値はリンク(Antoine定数)に記載しています。

Antoineの式は昔Antoineさんが各成分の飽和蒸気圧を実験によって求めたもので
使用できる温度範囲が決まっていることに注意してください。

使用可能な温度範囲についても上記のリンクに記載されています。

Antoineの式は非常に便利で、
Antoineの式を使えば、気相中の全圧の値がわかっているとき温度条件を算出できます。

例えばベンゼンとトルエンの例で、全圧が101.3 kPaのとき、ラウールの法則を使用すると

(ベンゼンの液相モル分率 × ベンゼンの飽和蒸気圧) + (トルエンの液相モル分率 × トルエンの飽和蒸気圧) =101 .3 kPa

ベンゼンとトルエンの飽和蒸気圧⇒ log10P [mmgH2O] = A- B / (t[℃] + C)で算出

上記で温度条件を算出できます。

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