「蒸留塔の制御にはどんなものがあるのだろう?」、「蒸留塔周りのPFDを書きたいけどどんな制御を書いていいかわからない」、「ネットで調べたけど制御の意味や理由など詳しいことがなく大まかなことしか書かれてない」と思ったことありませんか?
しかしこの記事を読めば蒸留塔の制御の種類や意味や考え方を理解でき、
蒸留塔周りの制御を自分で書くことができるようになります。
この記事では他ではないことも詳細に書いてあるので、非常に有益です。
塔頂と塔底についてそれぞれ制御がありますが、この記事では塔頂について記載します。
蒸留塔制御の操作変数
制御で抑えておくことは、一定にするものと変数にするものを把握することです。
蒸留塔の場合は下記が対象になります(原料条件が一定の場合)。
- 塔頂圧力
- 塔頂製品の組成および流量
- 塔底製品の組成および流量
- コンデンサー徐熱量
- リボイラー供給熱量
蒸留塔の場合は塔頂(回収部)と塔底(濃縮部)があるので、それぞれで制御を行います。
この記事では塔頂の制御について記載します。
塔頂の制御
比揮発度の記事でも記載しましたが、蒸留塔の分離性能は相対揮発度によって決まり、
相対揮発度は圧力によって変化します。
そのため蒸留塔は圧力を一定にします。
圧力を一定にするためには塔頂のガス量を変数とします。
制御方法の種類は複数あり、図で示すと下図のようになります。
塔頂の制御については、塔頂製品ガスが非凝縮ガスか凝縮ガスかで変わります。
凝縮ガスの場合、塔頂ガス流量制御とコンデンサー除熱量制御で種類があり、
コンデンサー除熱量制御の場合、さらに冷媒流量制御と伝熱面積制御があります。
最後にホットバイパス制御(フラットバック)と凝縮液量制御に分かれます。
それでは順を追ってそれぞれ紹介していきます。
非凝縮ガス
塔頂製品ガスが非凝縮ガスの場合は非凝縮ガス量が定常的に多い場合を想定します。
非凝縮ガスが定常的に多い場合は、非凝縮ガス流量が変数となります。
圧力上昇⇒非凝縮ガス流量制御弁開⇒塔頂ガス流量減少⇒圧力減少
凝縮ガス
塔頂製品ガスが凝縮ガスの場合、塔頂圧力を制御する方法は二つあります。
- 塔頂ガス流量を変化させる
- コンデンサーの徐熱量を変化させる
塔頂ガス流量を変化させる場合
塔頂圧力により塔頂ガス量を制御してます。
圧力上昇⇒コンデンサー入口の制御弁が開⇒凝縮量増加⇒塔頂ガス流量減少⇒圧力減少
コンデンサー除熱量を変化させる場合
コンデンサー徐熱量を変数とし、間接的に塔頂ガス流量を変えることで圧力を制御します。
コンデンサー徐熱量を変えるには二つ方法があります。
- 冷媒流量を変化させる場合
- コンデンサーの伝熱面積を変化させる場合
冷媒流量を変化させる場合
塔頂圧力により冷媒流量を制御しています。
圧力上昇⇒冷媒流量増加⇒凝縮量増加⇒塔頂ガス流量減少⇒圧力減少
それでも圧力増加が収まらない場合は、
還流槽出口の制御弁の非凝縮ガス流量を増やすことで圧力を一定に保ちます。
以下注意点です。
コンデンサーの伝熱面積を変化させる場合
コンデンサーの伝熱面積を変化させる方法は二つあります。
- ホットバイパス制御(フラットバック制御)
- 凝縮液量制御
まず一つはホットバイパス制御(フラットバック制御)と呼ばれる制御です。
コンデンサーは還流槽の下にあり、液ヘッドにより還流槽からコンデンサー内に液が溜まります。
つまり還流槽の液面とコンデンサーの伝熱面積により制御しています。
圧力上昇⇒還流槽入口の制御弁が閉⇒コンデンサー内の液を押出す⇒コンデンサー伝熱面積増加⇒凝縮量増加⇒塔頂ガス流量減少⇒圧力減少
なお、この制御方法をホットバイパス制御(フラットバック制御)といいます。
以下注意点です。
凝縮液量制御の場合は以下です。
塔頂圧力により凝縮量を制御してます。
圧力上昇⇒コンデンサー入口の制御弁が開⇒凝縮量増加⇒コンデンサー内液量減少⇒コンデンサー伝熱面積増加⇒凝縮量増加⇒塔頂ガス流量減少⇒圧力減少圧力減少
まとめ
塔頂の制御についてまとめると次のようになります。
- 塔頂圧力を一定にするように制御する
- 塔頂ガスが非凝縮ガスの場合は、非凝縮ガスの流量を変化させる
- 塔頂ガスが凝縮ガスの場合は、塔頂ガス流量制御とコンデンサー除熱量制御に大別される。
- コンデンサー除熱量制御は、冷媒流量制御とコンデンサー伝熱面積制御の2種類ある。
- 伝熱面積制御ではホットバイパス制御と凝縮液量制御がある。
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